理科教育講座 生物学分野
出口 竜作
オフィス 環境教育実践研究センター棟2階東
僕の専門は動物発生学です。動物の発生というと、皆さんはきっとウニやカエルの受精卵が細胞分裂を繰り返し、幼生の形を作っていく過程のことを想像するのではないでしょうか?僕はそのような「形態形成」の過程にも興味を持っていますが、卵と精子が出会って一緒になるあたりの出来事、すなわち「受精」のところに最大の興味を持っています。多くの場合、動物の卵は同じ種の精子とだけ、そして1つの精子とだけ受精を行い、発生を開始します。そのような性質を持つ卵や精子はどのような過程を経て形成されるのでしょうか?受精の際、卵と精子はどのようにして相手を同種だと認識するのでしょうか?なぜ1つの精子だけが1つの卵に受け入れられるのでしょうか?精子を受け入れた卵はどのようなメカニズムで発生を開始するのでしょうか?このような基本的な問いかけに答えたいと思っています。
実験材料としては、海産・淡水産の無脊椎動物のうち、生殖時期が夏〜冬のもので、かつ比較的研究の進んでいないものを対象にしたいと考えています。これまでの卒業研究では、クラゲ、ヒドラ、イソギンチャク、エビ(アルテミア)、笠貝、巻貝などを扱ってきました。これらの材料は今後も使っていきます。でも、新たな実験材料もどんどん開発していきたいと思っています。僕たちの研究室の目標は、「全ての動物」の発生を知ることです!
発生過程を研究するためには、まず目的とする動物の生息域を調べ、その動物を採集してこなくてはなりません。次に、その動物を飼育しなければなりません(ほぼ毎日の水換えや餌やりが必要になることもあります)。そしてその動物の卵や精子を使い、注意深く観察や実験を行わなくてはなりません(かなり細かい作業を行うことになります)。また、関連分野の文献(当然ながら英語で書かれた論文を含みます)をどんどん読んで、内容を理解していく必要もあります。これらは、初等、中等の学生に共通していることです。
というわけで、僕たちの研究室に来る人は、「覚悟」をして来て下さい。ただ、一生懸命やりさえすれば、卒業研究は「楽しいもの」・・・になるということは保証します!
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