理科教育講座 地学分野
川村 寿郎 (地質学)
オフィス 1号館2階東
地層に関する研究をしています。さまざまな地域に分布する地層がどういうものなのか,そしてそれが,いつ,どこで,どのようにしてできたのか,について調べています。具体的には,
・ある特定地域の地質マッピング。地形図とコンパスをたよりに,実際にそこまで歩いていってハンマーで岩をたたいて調べて記録するという,とんでもないジミー(地味)な作業を,血と(?)汗と涙を流しながらおこない,国土の基本図である地質図幅を作成する。現在,岩手の早池峰山周辺で調査中。
・地質年代の決定。岩石を溶かして,微少な生物(放散虫,有孔虫など)の化石を中からせっせと取り出して,同定し対比するという,これまたジミーな作業をして,やっとの思いで年代を特定する。また,岩石の中のある種の鉱物を砕いて,分離して,拾い集めて,・・という何ともジミーな単純作業をしながら,放射年代を求める(年代測定は高額で外部に委託)こともする。予想と違う年代値が出ることも多く,少しバクチのようなところあり。
・地層の堆積環境とその変遷の推定。気候を特定できる生物(例えばサンゴ)の化石や,地層の重なり様式について,谷や海岸の地層を相手に,しつこく集めたり計ったり見つめたりという,何ともジミーな調査を行って,その地層がどのような環境でできたのか,そしてその後どのような過程を経て形成されてきたのかを考える。
このように,研究は全くジミーであり,決して見栄えのするものではありません。
野良仕事も多く,そのときには,雨にも,風にも,雪にも,夏の暑さにも負けないような人でなければなりません。しかし,卒業研究という一仕事を終えたあとには,なにがしかの充実感をともに感じるとともに,学問の奥深さにも気づいてもらいたいと思います。
なお,高校で地学を履修しなかったことは全く関係なし。要は,大学に入ってからの履修であり,卒研希望者は,関連する講義と実験・実習は必ず履修しておくようにして下さい。また,自ら進んで地球や環境に関する意識を高めておいて下さい。
卒論テーマは,古生代や中生代の地層を中心としたものが多いですが,できるだけ地質学の広い分野をカバーしてゆきたいと思っています。また,環境教育に関連したテーマ(例えば,里山や河川の景観など)も扱っています。テーマの設定は,あるいは一生を左右しかねないとも限りませんので,入念に話し合って決めるようにしています。初等・中等の課程の違いばかりでなく,卒研への意欲や興味の程度,将来の就職や進学の希望,あるいは出身地まで含めた個人的な事情をできる限り考慮しながら,テーマを設定したいと思っています。
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