理科教育講座 生物学分野
棟方 有宗
オフィス 環境教育実践研究センター棟2階東北 研究室のHP http://fish.miyakyo-u.ac.jp/
あたらしく研究室を選ぶ皆さんへ
私達の研究室では、主に魚類や水生昆虫等の水生生物や、河川を核とした新たな東北地方の街づくりの研究を行っています。(現在関心を寄せている研究課題は、以下に示しています。)研究テーマは多岐にわたっていますが、いずれも、単に現象の解明を目指すのではなく、得られた知見を魚類の保全や資源管理、教育、我々のより良い生活に反映させることを目標としています。現在、大学院生3名、4年生4名が在籍しています。
<行動・生理学分野>
@サクラマスの降河回遊行動の発現に関与するホルモンおよび外部環境因子の解明
サケマスなどのサケ類の川から海への回遊がいかなる外的・内的(生理的)要因によってコントロールされているかを突き止め、サケマスの適切な資源管理に反映したいと考えています。研究では、フィールドサンプリングや人工水路におけるホルモン投与・行動観察実験、EIA法によるホルモン測定を行います。
Aアブラハヤの行動・生理学
アブラハヤは多くの河川に普通に分布し、河川魚類の中で占めるウェイトも大きいものがあります。私達の研究により、アブラハヤは、孵化したのち、次に産卵するまでの間に河川内で定型的に、そしてかなり大規模に回遊していることが判ってきました。つまり本種は、他の有用種の資源管理を考える上でも鍵を握っていると考えられます。彼らのライフサイクルとそのメカニズムを解明することを目指しています。
<生物保全・環境リスクマネジメント>
@ 宮城県内の希少淡水魚(タナゴの一種:アカヒレタビラ)の保全
絶滅が危ぶまれている仙台産アカヒレタビラの棲息状況をモニターし、保全策を検討します。また、保護増殖法として全く新しい人工授精法の開発、ならびに宮教大構内に新造したタナゴ池における自然繁殖実験を行っています。
A 重金属が魚類におよぼす影響の解明((独)産業技術総合研究所等との共同研究)
重金属等による環境汚染のリスクを回避するための河川管理プランについて検討しています。モデル河川である山形県海味川や、宮城県鉛川(細倉鉱山近傍)において、定期的に水質・魚類調査を行っています。また数理モデルによるシミュレーションにも取り組んでいます。
B仙台元気再生事業
青葉山、広瀬川、中心市街地の3者の利点を活かして、これからの新しい仙台街づくりを提言しています。我々のグループは、特に広瀬川の視点からの仙台街づくりを提唱しており、そのために、青葉山から広瀬川を経て市街地に至る”緑の回廊”構想を提唱しています。また、広瀬川により多くの水生生物が暮らすための河川整備についても、複数の機関との協働によって考えています。
<生物教育>
@広瀬川に生息する水生昆虫の実物標本図鑑の作成(田幡研究室との共同研究)
魚類の餌として、また、水質を表す環境指標種としても有名な水生昆虫ですが、なかなか写真や図鑑を見てもどれがどの種かはわかりにくく、教える側も大変です。そこで、本物の川虫の樹脂封入標本を組み込んだ”本物付き図鑑”を作成しています。また、これを用い、小中学校で授業実践を行うことも計画しています。
Aサクラマスの発眼卵・稚魚を材料とした環境教育プログラムの開発(日本学術振興会 ひらめき☆ときめきサイエンス)
サクラマスの様々なステージを対象に観察会や放流会と言った環境教育プログラムを開発しています。
Bキャンパス自然教材園の開発
上述のタナゴ池、および環境教育棟北側にある直径1.8mのサークル水槽を用いて、大学構内の自然教材園を整備しています。小中学校等の学校ビオトープのモデルとなるように、今後も発展させてゆきたいと考えています。
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