理科教育講座 化学分野
猿渡 英之(分析化学、環境化学、地球化学)
オフィス 1号館1階西


 宮城教育大の広報誌「あおばわかば」Vol.30(2015年3月)に、研究室について書かせていただきました。まずはそちらをご覧ください。
http://www.miyakyo-u.ac.jp/about/publicity/pdf/AW31/8-9.pdf

 上記の「あおばわかば」に書いているように、最近何年かは食事試料の分析を継続して行っており、現在は東北地方内陸農業地域と沿岸漁業地域について調べています。食事試料の他にも土壌と水などの分析もやっていきたいと思っていますが、いずれにしても、どんな元素がどれだけの量含まれているかを調べ、違いやその原因、あるいは影響を明らかにしていこうということです。
 研究室では主成分元素からごく微量の元素まで測定しています。ごく微量というのはppb(1 g中に1 ng)からppt(1 g中に1 pg)といったレベルで、学生実験で使っている溶液と比べると濃度が1億倍違ったりもするわけですが、そういう元素まで測れます。入っていて当然と思う元素もあるかもしれませんが、こんなにたくさんの元素が検出されるのかと思うこともあります。
 以前は他の大学などに行って測定装置を使わせてもらわなければならず、なかなか思うように実験を進められなかったのですが、宮教大の測定装置も新しい物になってきたので、思いついたことはすぐに試すことができますし、測りたいと思った試料はいくらでも測れると思います。
 信頼できる分析値を出すためには苦労もあるかもしれません。同じものを測っているのに人と値が違う、どこから紛れ込んでしまったのか異常に高い値が出る、溶かそうとしているのにうまく溶けない、抽出しようとしたのに抽出率が低い、保存中に変質してしまったらしい、さらに原因不明で測るたびに値が違う、などなど、様々な問題を原因を究明しながら解決していかなければならないのですが、試料をうまく化学処理し、測定機器を使いこなして、自分の腕で分析ができるようになるのはなかなか嬉しいものです。そしてデータが出てくると試料ごとの違いも色々と見えてきて、なぜそうなのかを考えたくなってくるはずです。

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