理科教育講座 地学分野
菅原 敏 (気象学、気候学、大気科学)
オフィス 1号館1階


大気科学研究室ホームページ

★研究の内容
 主に気象学・大気科学・地球環境問題などに関連した事柄について、実験的あるいは理論的に研究することをテーマとしています。研究のスタイルで大別すると、観測的研究、データ解析、理論・数値計算というように分けられます。
・観測的研究では・・・ 地球科学の基本は実際に起こっている現象の観測であると言えます。義務教育の範囲においても、観察・観測を通した気象の理解が求められていることは疑いありません。何を観測したいかによりますが、大抵の場合、卒論で対象となるフィールドは地理的に限られます。観測結果を気象学的に解析することが不可欠になりますので、短期間に多くのデータを取得する必要があります。昼夜、シーズンを問わず観測を継続しなければならない場合もあるかもしれません。しかし、観測して得たデータは、この世の中で自分しか知らない自分だけのオリジナル。身近な環境における新たな発見があり、また、その現象とグローバルな問題とのつながりに気付くことでしょう。
・データ解析では・・・ 地球環境や気候に関する観測データは、いろいろな研究機関によって日々蓄積されています。自ら観測することはとても不可能な広域的、あるいはグローバルな現象については、既存の観測データを活用することも考えられます。多くの場合、コンピュータを使った解析が必要になります。扱うデータも、大きなサイズになることが普通です。
・理論・数値計算では・・・ 一般的に、現在の地球科学では数値シミュレーションの役割が非常に大きくなっています。現象の後ろにある理論をもとにして、数値モデルを構築し、コンピュータを用いて数値的に解を求める作業です。例えば、日々の天気予報や、将来の温暖化予測にも活用されている大気大循環モデルなどがその例です。しかし、このような大規模な数値モデルではなくとも、簡単で興味深いシミュレーションはいくらでも考えられます。また、既存の数値モデルを利用して、自分の目的に合うように修正して使用することもあります。

★これまでの卒業研究のテーマ
・小学校気象分野における雲の種類と天気の変化の関係について
・中学校気象分野における前線移動と気象変化の関係
・仙台におけるヒートアイランド現象と土地利用の関係
・二次元大気化学気候モデルを用いた長期変動シミュレーション
・虹に関する教材の活用
・雨に関する教材研究
・森林での大気中二酸化炭素濃度の観測
・雪の結晶成長に関する教材研究
・パイロットバルーンを用いた風観測の教材化
・小学校気象分野の雲の動きに関する教材研究
・気象教育のための気象情報発信サイトの作成
・仙台市内における二酸化炭素濃度の測定と放出量の推定
・降雪量と温暖化の関係
・仙台市内における定点気温測定
・成層圏における大気年代に関する研究
・日本上空の成層圏大気の気温トレンドに関する研究
・大気中二酸化炭素濃度の季節振幅の長期変化
・可搬型CO2濃度測定装置の開発と都市大気への応用
・後方流跡線解析を用いた大気輸送過程の考察
・植物の二酸化炭素吸収の直接観察法の開発
・簡易ガス測定器による海水中の無機炭素量の測定
・青葉山における大気中二酸化炭素濃度の連続測定

★必要な学問、心構え
 気象学、大気科学が基本となりますが、既存の学問分野の枠にとらわれない学際的な領域でもあります。地学講義IIBの履修が必要です。研究内容によっては他の研究機関との共同研究もあり得ます。相当のチャレンジ精神を持つ方を歓迎します。授業料に見合う以上のサービスをもぎ取るくらいの心構えが必要です。だまって待っていれば卒研単位はくれるだろうと勘違いされる方は、結果的に大きな損をすることになるでしょう。

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Miyagi University of Education.