理科教育講座 理科教育分野
田幡 憲一
オフィス 1号館1階東


卒業研究のねらいと概要
 わたしたちの眼が光を感じるしくみは、もっとも古く地球上に出現したと言われる古細菌の仲間が光エネルギーを生活のためのエネルギーに変えるしくみとよく似ています。わたしたちが細胞で呼吸をするしくみは、細菌が呼吸をしたり光合成をしたりするしくみとよく似ています。わたしたちのからだは、様々な生物のしくみを集めてつくられているのかも知れません。
 ご飯はイネの実を脱穀して精米したコメを炊いたものです。野菜は様々な植物の根や茎や葉や実、「肉」はニワトリ、ブタやウシなどの組織です。そしてニワトリ、ウシ、ブタなどの食べ物は・・・。ヒトを含めたすべての生物は地球を巡る食物網の中で有機的につながっています。
 生物はわたしたち自身のなりたちやくらしに深い関わりを持っています。
 このような生物にこだわって、率先して自然を理解し楽しむためのトレーニングを行うことが、私の研究室での卒業研究のねらいです。たいてい植物の栽培や、微生物の培養が卒業研究の要素となります。生物とじっくりとつきあって欲しいからです。
 じっくりとつきあってくれた相手にだけ生物が控えめに見せるふるまいを、するどくキャッチする感性を磨いて欲しいからです。
 学生さんには、生物のふるまいやつくり、微生物どうしの関係、微生物が環境を変え環境が微生物を変えていく様子などを、顕微鏡や測定機器を使って調べてもらいたいと思っています。いずれにしろ、教材づくりの基礎的な資料を収集するということで、厳格に区別して考えているつもりはありませんが・・・。

勉強しておいて欲しいこと
・ 責任を持って生物を栽培したり培養したり、観察し続けたりすることができる、根気強さを養っておいてください。
・ 物理学、化学、生物学、地学、情報など、自然科学に関するいずれかの分野で、「宮教大生としてはスペシャリスト」と言える程度の勉強をしておいてください。教科書以外の専門書を積極的に購入したことがあるという程度です。みなさんが勉強してきたことと、私が研究してきたこととのぶつかり合いから、新しい世界を創りたいと思っています。
 
最近の卒業研究のテーマ例
(1)いくつかの属のシアノバクテリア培養時における糸状体の断裂と伸長 
(2)培地の栄養塩類の組成とシアノバクテリア糸状体の断列
(3)繁華街のシアノバクテリア探索CDROMの制作

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Miyagi University of Education.